2025年8月11日月曜日

 第十回高野八葉全国俳句大会開催

令和七年7月⒛日(日)和歌山・高野山大師教会に於て

 今年で節目の十回となる「第十回高野八葉全国俳句大会」が7月20日、世界遺産の高野山で開催された。回を追うごとに投句数も増えており、今年は応募句が1178句となり、当日参加者は86名。下界より五度以上涼しい標高八百メートルの高野山に集合した。
選者は朝妻力・久保純夫・佐怒賀正美・柴田多鶴子・鈴鹿呂仁・谷口智行・坪内稔典・西宮 舞・花谷 清・宮谷昌代・森田純一郎・山田佳乃の各氏と和歌山俳句作家協会役員選者にて、金剛峯寺賞他各賞が決定。【応募句の部】の最優秀(金剛峯寺賞)の前田三紀さんには、金剛峯寺近藤本淳総務部長より、入賞句を刻んだガラスの盾が贈呈された。【当日句の部】では、選者を含めて全員が投句し、参加者全員の選句、披講、点盛のあと入賞者が決定。金剛峯寺賞は 桐本美惠子さんに授与され、応募句の部同様、入賞句を刻んだガラスの盾が進呈される。応募句の上位五句と当日句の上位五句は、短冊に揮毫され、一年間金剛峯寺新別殿に掲示される。応募句の入賞者、当日句の入賞者は以下のとおり。

 

【応募句の部】

 ◇金剛峯寺賞

余生とて朝来る友来る春が来る     前田 三紀

 ◇和歌山県知事賞

蟇一歩ぬらりと夜を引き摺りて      岡田 邦男

 ◇高野町観光協会賞

ケーブルカー花の遅速を上りゆく    楠木たけし

 ◇高野町宿坊協会賞

家で死ぬための退院麦の秋      久世 伸子

 ◇高野町商工会賞

地に伏して撮る片栗の花の反     梅山 厚子

 ◇高野山出版社賞

夜濯や星に掛けたるユニホーム    平万 紀子

 ◇和歌山文化協会賞賞

百年の水汲み上げて瓜冷やす     井上 論天

 ◇和歌山俳句作家協会賞

宿坊の襖にノック麦酒来る      中川 枕流

 ◇テレビ和歌山賞

王子社に拍手打つて溝浚へ      市ノ瀬翔子

◇和歌山放送賞

朧夜や父の形見のハーモニカ     津田 京子

 ◇大覚総本舗賞

古井戸の蓋に重石や大逆忌      中森 常夫

 

 

 

 

【当日句】

 ◇金剛峯寺賞

天井の龍うごきだす大暑かな      桐本美惠子

 ◇和歌山県知事賞

襖絵の花より発ちて夏の蝶       山田佳乃

 ◇高野町観光協会賞

水底の色もて生まれ川蜻蛉       山本陽子

 ◇高野町宿坊協会賞

片陰を命拾へるごと歩く        岸川佐江

 ◇高野町商工会賞

勤行にやがて添ひゆく蝉の声      山本隆之

 ◇高野山出版社賞

審判の声うらがへる炎天下       中浴智美

 ◇和歌山文化協会賞賞

端居して時の流れの中にゐる      手拝裕任

 ◇和歌山俳句作家協会賞

御朱印のしるき筆勢蟬時雨       尾崎と代子

 ◇テレビ和歌山賞

自刃の間横切つてゆく夏の蝶      三上孝子

◇和歌山放送賞

堂涼し厨の釜は二石炊き        政元京治

 ◇大覚総本舗賞

夕立をうまし旨しと呑む大地      向井睦