2022年10月22日土曜日

第七回高野八葉俳句大会

第七回高野八葉俳句大会

 会派を超えた俳句愛好家が高野山に集う「高野八葉俳句大会」も今年で第七回を迎え、去る7月17日(日)に大会が開かれた。


今回から、特別選者に中原道夫氏、佐怒賀正美氏、山田佳乃氏を迎え、応募句の部と当日句の部を設け、応募句には昨年の大会より倍増の648句が寄せられた。

大会には60名が参加し、金剛峯寺近藤本淳総務部長より金剛峯寺賞(ペア宿泊券)が進呈された。応募句の上位5句と当日句の上位5句は、短冊に揮毫され一年間、金剛峯寺新別館に掲示される予定。

来年の弘法大師生誕1250年大法会に向け、より充実した大会を目指している。各賞と選者特選は下記のとおり。

応募句の部入選句と選者特選句

 金剛峯寺賞

後列にパイプ椅子足し夏期講座      浦  貴子

 釋迦文院賞

杜若母の文箱に父のペン            植坂 和子 

 和歌山俳句作家協会賞

どの寺の鐘とも知れず明易し      塚月 凡太

 和歌山文化協会賞

借景のはるかまで山夏座敷          西上 邦子

 高野町文化協会賞

堂涼し千手に何も持たぬ手も        黒田ツヤ子

 高野町観光協会賞

滴りの一と呼吸して落ちにけり      蓮井いく子

 高野山宿坊協会賞

若葉風寄木細工のオルゴール        吉増 典子

 高野町商工会賞

草を刈るまこと細りし父の鎌       山本 容子

 

選者特選句

中原道夫

どの寺の鐘とも知れず明易し       塚月凡太

音といふもの残らざり日雷         森山久代

蝉の声遠のいてゆく座禅かな       岡田邦男

佐怒賀正美

雷雨来てもろもろの花勢ひたる   駿河兼吉

海風の茅花流しとなりにけり    太田妙子

荒梅雨を怺へて紀伊の青き山    矢野景一

山田佳乃

香煙を掻き寄す諸手蝉しぐれ       中山幸子

天を突く高野杉より緑雨かな       辻本俊子

草を刈るまこと細りし父の鎌       山本容子

上野みのり

どの寺の鐘とも知れず明易し      塚月凡太

江口 孝志

玉葱の断面小さき断層とも        山本允子

川口 修

草を刈るまこと細りし父の鎌      山本容子

北岡ゆみ

静かなる系譜を守り蝸牛          岡田邦男

木下敦子

万緑や千年の灯の過去未来       小林志乃

桑島啓司

生業は束子作りや棕櫚の花        馬谷富貴子

武友朋子

草を刈るまこと細りし父の鎌      山本容子

塚月凡太

弥山八経山上ヶ岳青吉野          北村 薫

手拝裕任

白鷺の羽広げたる白さかな         植田節子

深津一葉

鎮もるる高野の里に冬の月        坂田恵子

満田三椒

長茄子妣なら誰か乗せて来る     島貫アキ子

宮谷 昌代

真っ直ぐに父の気性の植田かな      樫本正巳

山本はじむ

借景のはるかまで山夏座敷        西上邦子

矢野 景一

父の日やちちの匂ひの椅子に坐し 蓮井いく子

 

当日句の部入選句と選者特選句



金剛峯寺賞

老いに慣れ一人に慣れて胡瓜揉む  中浴智美

釋迦文院賞

みほとけのまなざし涼し坊泊り   尾崎と代子

和歌山文化協会賞

塵のなきところも掃いて青高野   三上孝子

高野町文化協会賞

この道も世界遺産や蟻走る     川口 修

高野町観光協会賞

宿院に衣擦れの音明易し      山本隆之

高野山宿坊協会賞

万緑や祈りの道はとこしえに    坂田慶子

高野町商工会賞

未草今日咲く白の立ち上がる    古梅かほる

秀逸

羅や正座のしびれ眉に出て     鈴木憲一

空蝉の泥に重さのありにけり    竹内恵美子

選者特選

上野みのり

みほとけのまなざし涼し坊泊り   尾崎と代子

江口孝志

張り替へし太鼓の一打雲の峰    向井 睦

川口修

老いに慣れ一人に慣れて胡瓜揉む  中浴智美

桑島啓司

塵のなきところも掃いて青高野   三上孝子

武友朋子

羅や正座のしびれ眉に出て     鈴木憲一

塚月凡太

夏蒲団離せぬ高野坊泊り      山本はじむ

手拝裕任

水と火を仏に捧ぐ朝ぐもり     塚月凡太

満田三椒

蟻地獄躱せし先の蟻地獄      三上孝子

矢野景一

この道も世界遺産や蟻走る     川口 修

山本はじむ

水と火を仏に捧ぐ朝ぐもり     塚月凡太