第十回高野八葉全国俳句大会開催
令和七年7月⒛日(日)和歌山・高野山大師教会に於て
今年で節目の十回となる「第十回高野八葉全国俳句大会」が7月20日、世界遺産の高野山で開催された。回を追うごとに投句数も増えており、今年は応募句が1178句となり、当日参加者は86名。下界より五度以上涼しい標高八百メートルの高野山に集合した。
選者は朝妻力・久保純夫・佐怒賀正美・柴田多鶴子・鈴鹿呂仁・谷口智行・坪内稔典・西宮 舞・花谷 清・宮谷昌代・森田純一郎・山田佳乃の各氏と和歌山俳句作家協会役員選者にて、金剛峯寺賞他各賞が決定。【応募句の部】の最優秀(金剛峯寺賞)の前田三紀さんには、金剛峯寺近藤本淳総務部長より、入賞句を刻んだガラスの盾が贈呈された。【当日句の部】では、選者を含めて全員が投句し、参加者全員の選句、披講、点盛のあと入賞者が決定。金剛峯寺賞は 桐本美惠子さんに授与され、応募句の部同様、入賞句を刻んだガラスの盾が進呈される。応募句の上位五句と当日句の上位五句は、短冊に揮毫され、一年間金剛峯寺新別殿に掲示される。応募句の入賞者、当日句の入賞者は以下のとおり。
【応募句の部】
◇金剛峯寺賞
余生とて朝来る友来る春が来る 前田 三紀
◇和歌山県知事賞
蟇一歩ぬらりと夜を引き摺りて 岡田 邦男
◇高野町観光協会賞
ケーブルカー花の遅速を上りゆく 楠木たけし
◇高野町宿坊協会賞
家で死ぬための退院麦の秋 久世 伸子
◇高野町商工会賞
地に伏して撮る片栗の花の反 梅山 厚子
◇高野山出版社賞
夜濯や星に掛けたるユニホーム 平万 紀子
◇和歌山文化協会賞賞
百年の水汲み上げて瓜冷やす 井上 論天
◇和歌山俳句作家協会賞
宿坊の襖にノック麦酒来る 中川 枕流
◇テレビ和歌山賞
王子社に拍手打つて溝浚へ 市ノ瀬翔子
◇和歌山放送賞
朧夜や父の形見のハーモニカ 津田 京子
◇大覚総本舗賞
古井戸の蓋に重石や大逆忌 中森 常夫
【当日句】
◇金剛峯寺賞
天井の龍うごきだす大暑かな 桐本美惠子
◇和歌山県知事賞
襖絵の花より発ちて夏の蝶 山田佳乃
◇高野町観光協会賞
水底の色もて生まれ川蜻蛉 山本陽子
◇高野町宿坊協会賞
片陰を命拾へるごと歩く 岸川佐江
◇高野町商工会賞
勤行にやがて添ひゆく蝉の声 山本隆之
◇高野山出版社賞
審判の声うらがへる炎天下 中浴智美
◇和歌山文化協会賞賞
端居して時の流れの中にゐる 手拝裕任
◇和歌山俳句作家協会賞
御朱印のしるき筆勢蟬時雨 尾崎と代子
◇テレビ和歌山賞
自刃の間横切つてゆく夏の蝶 三上孝子
◇和歌山放送賞
堂涼し厨の釜は二石炊き 政元京治
◇大覚総本舗賞
夕立をうまし旨しと呑む大地 向井睦